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天性の「美味しい!状態に執着心」がある東京下町に棲息するおばさんのお料理・お菓子・道具・食材の他、散歩の記録を綴った日記です。by真凛馬


by mw17mw

DVD かもめ食堂 1/2

お正月にDVDを三本見た、かもめ食堂タンポポ、花より男子ファイナル。
全部、余り面白くなかったのだ、まあまあかなという感じで見終えたのだが、かもめ食堂だけは違っていた。

映画自体は、淡々としていて、盛り上がりもなく、途中でやめることはなかったが、見終えた後、何か心に響くものがなく、「この映画は一体何を伝えたいのだろう?」と考え出したところから、面白くなった。

映画は、もたいまさこ、片桐はいりという個性的な女優が二人も出ているが、本当に盛り上がらなくて、主人公の小林聡美と三人の女性の食堂における日常生活を描くのみ。

色々な評を読むと、「主人公のサチエさんがフィンランドのヘルシンキに開いた『かもめ食堂』が満員になるまでの話」であり、「日々の疲れを癒す、田舎のような作品」と書いてあり、そのとおりとは思う。

出てくる料理が全て美味しそうとも書いてあった。
私は美味しそうと思うより、例えば、紙のフィルターで淹れるコーヒーがちょっとしたコツで数段美味しくなるのだけれど、「紙のフィルターでそんなことがあり得るのか」という疑問が沸いたり、オープンキッチンで鮭の切り身を焼くシーンが数度出て来たのだけれど、煙と匂いが食堂中に流れてしまわないかということが気になったし、また、高そうなお鍋が沢山並んでいるキッチンで、実際これだけ揃えて店を開くのは非現実的とか、日本の上質なお米をフィンランドに持ってきたら、やたらに高いおにぎりになるかなとかが気になってしまった。
(それでも、見終わった後、やはり、おにぎりを作って食べてしまった)

この主人公のサチエさんのヘルシンキの食堂は、「メインがおにぎりで、日本食の食堂」という設定。
フィンランドでジャポニカ米を作っていないだろうし、梅干し、おかか、海苔、全て輸入物ということは、フィンランド人が気楽に食べに来れる価格設定ができるだろうかなどと思ってしまう。
(しかし、そういうのは、映画でフィクションで気にする必要はないだろう。)

ざっとした粗筋は、フィンランドでサチエさんが開いたかもめ食堂は、一か月経ってもお客が一人も入っていない状態。
そんな時、ひょんなことから、片桐はいり演ずるミドリさんという一人旅の日本人旅行者と知り合い、彼女も、お店を手伝うようになり、同じような感じで、日本から一人旅に来たもたいまさこ演ずるマサコさんもこのお店を手伝うようになる。
その間に、フィンランド人とのちょっとしたエピソードがいくつか挟まれ、段々、お店もお客が入るようになり、ついには満員になるという話。

ミドリさんもマサコさんも、日本の生活に疲れてフィンランドに来た感じであり、マサコさんは、日本で何に疲れたかがさらっと語られるが、ミドリさんの場合は、それも全然語られない。
勿論、サチエさんだって、やはり、日本で何かあって、意を決してフィンランドまで来たのだろうと想像できる。
マサコさん以外の日本での大変さやしがらみについては、全く触れずに、淡々と、お店が繁盛するようにシナモンロールを作ってみたりの試行錯誤したりする生活だけが描かれている。

見終わって、物足りなかった、一体、何が描きたかったのだろうって。

考えてみたところ、この話は、「日本で生活に疲れた日本人女性が、フィンランドのサチエさんの店で淡々と働くことによって、疲れが取れて、元気を取り戻して復活するまでの話」なのだと気付いた。

サチエさんが作る店、それは、無理がない、欲がない、人を否定しない、全てを受け入れて淡々としている。

サチエさん自体、おにぎりが日本のソウルフードで、フィンランドの人々ならきっとおにぎりを美味しいと思ってくれると信じ、お料理が好きな本当に平凡な女性として描かれている。
仕事が終わって家に帰り、眠る前には、必ず、合気道の練習をする。
何でも、お父さんが武道家で、小さい時から毎晩眠る前に合気道の練習をしていたので、それをしないと落ち着かないという設定。
片桐はいりにその体操のような合気道の所作を教えるときに、「自然の気と自分の気を合わせるように、その2つの気を合わせるから合気道っていうのよ」と言っていたっけ。
そう、サチエさんは、それができる人なのだ、もしかして、これがとても重要かもと気付いた。

そのことを思い出したら、もしかして、この映画は、合気道の精神を描いたものかも知れないと思えた。
サチエさんは、いつもニコニコして、人を受け入れ、疑わず、愚痴も悪口も言わず、淡々とお店の仕事をこなしていく。
見た目も平凡で、オーラも感じない。
しかし、その精神力は強くて、お店にお客が入ってこなくても、めげないし、いつか満員になると信じて、淡々と仕事をこなしていく。
その他、温水プールで泳ぐシーンも良く出て来たが、眠る前に合気道の練習とともに、それは、めげそうになる自分の気を調えていることを表現していたのかなと後で思った。
一見、平凡でどこにでもいる女性に描かれているサチエさんは、実は、凡人には真似できない、子どもの頃から精神性を鍛えられた人だと気付いた。

そんなサチエさんの作るお店は、清潔で温かい。
そこで起きる様々な小さな人とのかかわり合いや美味しい食べ物・コーヒー、またフィンランドの自然とフィンランド人の性格が、ミドリさんやマサコさんのような疲れた人々の心を癒して行ったのだということに気付く。

そう、この映画は、一見、食べ物の力や自然の力を描いているようにも見えるのだが、実際は、サチエさんという小さい頃から合気道を習い、自分の気と自然の気、もしくは、自分の気と相手の気を合わせることができる人が考え、作る食べ物の力を描きたかったのだと思えた。

私も合気道習いたいと探したが、台東区では、今戸というとっても北の方でしか習えないようなので、諦めた。(調べたら、合気体操というものもあるようで、その方が私には向いているかも)
Commented by えみぞう at 2009-01-05 12:36 x
今年もよろしくお願いいたします。

「かもめ食堂」、私は群ようこさんの著作で読みましたが、やっぱり
非常に淡々とした印象を受けました(^_^;

PASCOのCMは非常に良い感じなんですけどねぇ。
Commented by mw17mw at 2009-01-05 18:30
>えみぞうさん
こちらこそ、今年もよろしくお願いいたします。
原作も、淡々なのですね。(読むの、やめておこうかな?)
PASCOのCMって、超熟とかいうの?
あれがかもめ食堂の関連だと全然知りませんでした。
映画は、見ても結構楽しめると思います。
Commented by えみぞう at 2009-01-05 21:32 x
>PASCOのCMって、超熟とかいうの?

そうですそうです。
以前のバージョンでは、画面の右下に「かもめ食堂@ヘルシンキ」って
小さく書いてあったのですが、最近のはどうだったかな??(^_^;
Commented by mw17mw at 2009-01-06 21:54
>えみぞうさん
そのCM、何だか景色のいいところだなという印象しかありませんでした。
余り、映画の内容と関係なさそうなイメージですよね。
by mw17mw | 2009-01-04 22:44 | 日常生活 | Comments(4)