数年前、秋になると魚屋さんに並ぶ筋子を買ってきて、自分でいくらにする作業を2,3年続けたことがあったが、決してうまく行かなかった。(それにこの2,3年は鮭の不漁で、価格がものすごく上がったこともあり)
ぬるま湯に筋子をつけて、魚卵がついている粘膜をはがしていく。(例えば、テニスなどのラケットのガットにこすりつけたりすると物の本には書いてあった。)
しっかし、私がその作業をすると、出来上がったいくらは、醤油漬けにしても水っぽく感じて、決して美味しくないので、すぐにやらなくなってしまった。
また、最近、高いお寿司屋・回らないお寿司屋なぞに行くこともなく、回転寿司や持ち帰り寿司しか食べないので、美味しいいくらに巡り合えないみたい。(笑)
というのが、私と筋子といくらの歴史。
その他、親と暮らしていた時代、時々、筋子をほぐしたけれど、完全に一粒ひとつぶにはほぐれていない、ちぎった感じの筋子が、父親の酒の肴とか、何故か、兄弟の中でこの筋子が好きだった妹に母が出していた記憶がある。
覚えている筋子の処理は、お酢をかけてしばらく置いてから、箸や手で粘膜をできるだけ摂ることだけだったと思う。
それは、秋だけだったような気もするし、少なくとも一年中出されることはなかった気がする。
で、母は全く筋子をいくらにしようとは考えたことがなかった気がする。(いくら自体、贅沢品で普通の魚屋にはなかったのかもと思う)
それと、幼い時から何やかやと江戸前寿司を食べて来たが、うにといくらって、子供の頃は、お寿司のネタではなかったような気がする、(何せ、江戸前のネタではないし)昭和の40年代とか50年代に一般的になったような気がするのだ。
そして、今回、塩筋子を買ってきたので、世の中のほぐし方はどうなっているのだろうと、ネットで「塩筋子 食べ方」で検索したら、「筋子を塩漬けしたものを、塩筋子と呼びます。 塩筋子は日持ちがするため、一年中売られています。 ただし生筋子とは違い、ほぐしていくらにはできません。 塩筋子は、小さくちぎってごはんのお供にしたり、大根おろしをのせて食べたりしましょう。」と出て来たし、ほぐし方については、「筋子のほぐし方を解説!この記事では、いくらになる前の筋子のほぐし方やコツを紹介します。お湯、泡立て器、焼き網を使う方法を詳しく解説。」と書いてあった。
我が家みたいな、お酢をひたひたにかけて、少し置いておいてからほぐし、テーブルに出すときには、お酢を捨てて、必要ならお醤油をかけて、熱々の白いご飯のおかずとして食べる調理法は取り上げられていない。(塩筋子だったら、お醤油は不要かも)
このお正月は、おせちは張り込んだけれど、削るところは削り、毎年お正月に食べるお刺身は選ぶのが難しいし、高いので、「一度回転寿司に行って食べることで代替しよう」と考え、まぐろとか買わなかったのだ。
で、4日にスーパーが開いた時行ったら、293円の塩すじこがあったので、これは、昔を思い出して、筋子として食べてみようと思って買って来た。
私の母親流と言おうか、父の母親流と思われるお酢をかけてのほぐし方でほぐしてみた。
(何故父親系の調理と僧都できるかというと、母は山梨の山地の出身だし、きっと、この筋子自体、生まれ育った環境になかったと思うので、この処理法は、きっと戦前の東京で塩すじこが産地から持ち込まれた時に家庭の主婦が当たり前にやっていた処理法だと思うので)
そして、なぜ、お酢で膜を剥がすやり方が無視されたかというと、多分、全国的に「筋子の処理の仕方」という記事を書くときに、北海道や新潟の鮭の本場の漁師や加工業者の大きな筋子の処理法だけが「これぞ、本場の処理法」と取り上げられたからだと思うのだ。
昔、料理人のレシピの方が格が高くて、家庭料理は低い見られていたので、東京の下町の主婦たちが家庭料理の小さな筋子に対するお酢の方法なぞ、マスコミなぞに取り上げられるはずもない。
買ったときは、色も良くなく、アメリカ産で美味しいのかしらと少し心配だったが、お酢で処理をして、薄皮を全部ではないが取り除いたら、きれいな魚卵が出て来て、安心。

ネットには、
「筋子を塩漬けしたものを、塩筋子と呼びます。 塩筋子は日持ちがするため、一年中売られています。
ただし生筋子とは違い、ほぐしていくらにはできません。
塩筋子は、小さくちぎってごはんのお供にしたり、大根おろしをのせて食べたりしましょう。」と書いてあった。
「秋口に魚屋さんに並ぶ筋子は、生筋子で、それをほぐしていくらにできる」けれど、「塩筋子は、一年中売られているし、ほぐしてもいくらにできない」という違いがあることがわかった。(それまで知らなかった。)
でも、幼いころ、家で食べていた酢でほぐした筋子は、きっと塩筋子であったろうというのは、昔、塩漬けの状態でしか東京まで運ぶことが出来なかったと思うので、正しいと思う。

お酢の量はをひたひたでも多いかも知れない、全体にちょちょっとかけて、様子を見たが、やはり、少し時間が経たないと粘膜が柔らかくならないみたいで、お酢の量を加減しながら、全体にお酢が染みるようにしてから、5分くらい置いておくと、作業しやすいと思う。
全部剥ぐのは無理そうなので、できるだけの範囲で粘膜を剥ぐ。
大体作業が終わったら、きれいなラップに移し、冷蔵しておいた。(ほぐした筋子の魚卵は本当に小さくてびっくり、でも味は良かった。)
本日12時頃外出予定だったので、中途半端なランチとして、そうだ、筋子のおにぎりを作ろうと思い立った。
私には、筋子をおにぎりの具にしたことはなかったが、最近、
大塚のぼんごのドキュメンタリーを良く見かけるのだけれど、その時に「人気ナンバーワン」として、鮭と筋子のおにぎりが良く映し出され、美味しそうなのだ。
そして、蔵前のデイリーヤマザキに、たまに筋子のばくだんおにぎりが並んでいるので、何度か買ったけれど、美味しかったので、真似してみたが、当然美味しかった。
(塩筋子にお酢をかけると、しょっぱさも落ち着くみたいに感じて、美味しい)
このご飯熱々おにぎりを海苔で巻いて食べる
今回使ったお酢は良くわからなかったので、千鳥酢。
お酢については、何が向いているのか向いていないのか、よくわかっていない。