茗荷谷界隈-湯立坂下ロシア料理「ソーニャ」
2012年 05月 23日
本題です
湯立坂を下り切ったところは、文京シビックセンターから大塚駅に抜ける谷底の長い道路。
その道路を渡ると、反対側がまた上り坂になっていて、小石川植物園や簸川神社がある。
(ただ、小石川植物園の入り口は、播磨坂(サントクの横の桜で有名な坂)を下りたところにあるので、湯立坂から入ろうと思うと、結構歩くことになる。)
この谷底の両側は、製本の工場が多く、坂の上とは全く違う趣なのだが、完全な住宅街ではなく、こういう工場などがあり、働く人が通って来たり、住んでいるからこそ、少しはレストランが成り立つのかなと思う。
ロシア料理のお店「ソーニャ」は、湯立坂とその道路が交わる手前にあり、入り口のところにメニューが置いてある。
(日曜日の11時半頃行ったのだが、客は私だけであった)
厨房に女性、サービスは男性であった。
このお店は、大田区の池上台から、ここ小石川の外れに移転して来たお店だそうだ。
(高級住宅地から高級住宅地への移転と言う事実と、お店のムードから、このお店の方々は、心底から、「落ち着いてゆったりした経営」が大好きなのだと思った。)
メニューの中にお店の歴史が書いてあったのだが、中国ハルピンで戦後中々日本に帰れなかった初代のツタエママという女性がロシア貴族一家と8年間一緒に暮らすうちにロシア料理を覚え、帰国後、池上台にロシア料理のお店を開いたのが始まりだそうだ。
で、現在は二代目の方が継いでいるようだが、料理は全てツタエママから(=ロシア貴族から)習ったとおりの細部にわたるまで昔風の丁寧な手づくりなのだそうだ。
ここは、「ランチメニュー」とは言わず「午後4時迄のメニュー」と呼んでいるようなのだが、大きく分けて2つある。
一つは「牛タンシチュウ」をメインで、卵と皿盛りライスがついて、更にピロシキをつけるか、ソフトドリンクをつけるかつけないか、え~い、両方ともつけてしまえの4コースで、1365円から1950円。
もう一つは「ボルシチ」をメインにして、ライス、ライ麦パンやピロシキをセットにして、ソフトドリンクをつけたりつけなかったりで、9種類に分かれている。(お値段は、1050~1740円)
で、残念なのが、「牛タンシチュウ」は、「土日祭日は、お受けできません」と書いてあるから、土日祭日は、ボルシチのコースのみになること。
私が行った日は日曜日だったので、「ボルシチ」にせざるを得なかったのだが、一番安い、ボルシチにライスというのは、シチュウでご飯を食べるのは苦手なのでパス。
デザートとかソフトドリンクも取っても良いのだけれど、どうせなら、隣のジェラート屋さんでジェラートを食べて済まそうという気になって、「ボルシチ+ピロシキ」を選択。
ピロシキは、三種類あって、肉、かぼちゃ、小豆から選ばなくてはいけないのだが、やはり、食事の時は余り甘いものは食べたくなかったので、お肉をチョイス。
さて、最初に酢漬けの野菜が出て来た。
ボルシチを食べるための木のスプーンが素敵。
ここのピロシキのお肉は、そのロシア貴族に習った通り、牛肉の挽肉を使っているとのことが珍しいらしい。
勿論美味しかった。
ボルシチだから、味はわかり切っているのだが、それにしても、ここのボルシチはとても丁寧な作りで、味も良いし、キャベツや玉ねぎはとろけるようにくたくたに煮えているし、じゃがいもやビーツ、にんじんは程良い柔らかさであった。
牛のすね肉と思われるお肉も、とろとろに煮えているのだけれど、味が残っていて素晴らしかった。
初めはサワークリームを溶かさないで、ビーツとトマトの味のスープを楽しみ、途中でサワークリームを広げて混ぜると、それはそれでコクが加わり、美味しかった。
とても良い感じなのだけれど、ボルシチだから、味としては新鮮味がないのが残念。
ただ、丁寧に調理されたボルシチを食べたいのなら、ここのボルシチは推薦できる。
ボルシチは量もたっぷりであった。
ボルシチ&ピロシキだけだと、私でも腹八分目という感じかな?
男の人だったら、絶対足りないと思う。
ボルシチやピロシキの手を抜かない料理を食べてみると、きっと他の料理も美味しいのだろうと想像できる。
このお店、次回は、どうにか、平日に行って、牛タンシチュウを食べてみたい。
ざっと夜のメニューも見てみたけれど、お肉料理なぞ、四千円以上のものがざらで、質も高いけれど量も多いタイプだと思う。
夜は、複数の人と一緒に食べに来た方が良さそうだし、安いお店ではないと思う。
住宅街の中のゆったりひっそりしたお店で、料理が丁寧なので、私好み。