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天性の「美味しい!状態に執着心」がある東京下町に棲息するおばさんのお料理・お菓子・道具・食材の他、散歩の記録を綴った日記です。by真凛馬


by mw17mw

八寶鴨宴会 2/3

献立は、itacoさんが考えてくれたもの。
菜単を読むと、どこかで見たような料理の名前が....。
新橋の鴻運で食べた、私の大好きな「黄豆芽油豆腐」(豆もやしと油揚げの炒め物)とか、「烤麩」(かおふー)、「干絲」の文字があるではないか。

この高級店で、そういう庶民的な料理をどう出してくるか楽しみであった。
itacoさんが給仕の人に「この献立、シェフの人、何か感想言っていましたか?」と聞くと、「喜んでいた」とのこと。
シェフは、この高級店で、普段作らない、また、注文も来ない庶民的な料理を楽しんで作ったそうだ。

また、この宴会は、午後2時の他のお客さんがいない時間の個室で行われたが、皆、美味しい物が好きだし、自分のブログなどを持つ人ばかりだったので、和気藹々、好奇心満々、写真パチパチで、和やかな基本ラインは維持しつつ、大変賑やかな宴会であった。(itacoさん主催の宴会は、貸切か、個室でないとということになった)

八寶鴨宴会 2/3_d0063149_1532070.jpg最初の前菜4品は、ものすごく薄味で上品な味。
中華でも「高級=薄味」なのかなと思った。
料理に、格があると思う。
このお店の料理の人は、「高級な料理を作るべく修業してきた人たち」なのだなと思った。
何を作っても、見た目きれい、手をかけていると感じさせる処理、コースでの位置を配慮した味付け。
日本で言ったら、吉兆とかの料亭で修業をした人たちの料理という感じであった。

上左は、胡桃のおつまみ、上右が中国のお麩の煮込んだもの、下左が、枝豆と高菜漬けの和え物、下右が、干糸絲(固めのお豆腐を千切りにしたもの)の和え物
(つまらない話しだが、枝豆は中国語で「毛豆」。最近浅草橋で新鮮な枝豆を買うようになったら、新鮮な枝豆の鞘には産毛が沢山あることを発見。中国人が「毛豆」と名付けた気持ちがわかるような気がした。この枝豆の和え物は、枝豆の薄皮を全て剥いてあり、見た目より手が込んでいた)

次のスープは、老鶏と書かれている通り、ひね鶏の澄んだスープ、やはり、上品。
鶏肉がももと胸と一切れずつ入っていた。

八寶鴨宴会 2/3_d0063149_154191.jpgその次がメインの「八寶鴨」
この茶色く煮〆られた「お頭付きのアヒル一匹ゴロン」は、やはり、迫力があった。
香港に行くと、乞食鶏という、土を塗りたくって蒸し焼きにした鶏料理をご馳走として勧められるけれど、これは、お客さんが木の小槌で、土を割る儀式があるから、パフォーマンスとして優れているのだろうな、八寶鴨は、パフォーマンスなしだから、有名ではないのかなと思っていたら、給仕の人が「どなたか、ナイフを入れてください」とのこと。
一人女性が大きなナイフを持って、鴨を二つに切った。
ナイフ入刀の儀式、結構、絵になる。

このお料理は、このお店に、月に1つ出るか出ないか程度の注文しか来ないとのこと。
きっと有名ではないのと、日本では、鶏はメジャーだけれど、アヒルはやはり敬遠する人が多いのではとのこと。
でも、「合鴨」という名前で、アヒルは食べられているのにね。

アヒルだ鶏だを気にしないで、味わうと、確かに美味しい。
それに、別に目新しい味というわけではなかった。
食べてすぐ頭に浮かんだのは、「熱々の中華ちまきの高級版」ということ。
ちまきは、竹の皮に包んで作るけれど、それがアヒルになった感じ。
また、醤油ベースの汁で煮込まれているので、その汁とアヒル肉ともち米がマッチングしていて、とても美味しい。

これが出てきたら、賑やかだった宴会から、人の声が消えた。(笑)
皆、黙々と食べていた。

醤油ベースの汁は、醤油と言っても中国の醤油だから、日本の醤油ベースとは違う風味だし、酸っぱいというほどではないけれど、お酢が入っているのかしらと感じさせ、甘くないけれど、砂糖も入っているのよねという感じで、本当に僅かに甘酸っぱく、美味しい汁であった。
アヒルの肉は、長い時間の煮込みにも耐え、とても柔かいし、ゼラチン化した皮もふわふわでとても美味しかった。

この汁をご飯にかけて食べたいというリクエストが出たときには、高級店なので、取り分けた後残った汁は全て持ち去られ、片付けられていた。
それが残念であった。

その後、色々な料理が出て、一旦、この八寶鴨の味は、記憶の後ろの方に行ってしまった。
それ程、「大絶賛」というか、病み付きになる味とは思わなかったのだ。

しかし、その価値がわかったのは、次の日の夕方。
急に、頭と心と舌に、昨日食べた八寶鴨の熱々のもち米、柔らかな肉、ふわふわの皮、甘酸っぱい煮汁などが蘇って、無性に食べたくなった。
その時に、「八寶鴨は、やはり、すごい料理なのだ」と実感した。

八寶鴨は、それだけだったら、一羽8800円だから、食べられないことはない。
但し、問題は、10~12人集まらないと、食べきれないということ。(笑)

ところで、今、インターネットの日中辞典を引いたら、「日本語の鴨」は野鴨子、「アヒル」は、鴨子だそうだ。
だから、八寶鴨というのは、沢山の具を加えたアヒルなのかな?
by mw17mw | 2005-07-28 15:16 | 飲食店・菓子店 | Comments(0)