インド料理店で会った日本人
2010年 07月 22日
料理も美味しく、ランチでコスパも良く、楽しく終わるはずだったのだが...。
1時過ぎだったので、とても空いている店内に、老年に近いひと組の夫婦が入って来て、私から程近い席に案内された。
そうすると、直に、旦那さんの方が大きな声で、インド人の店員さんに、「インドは何で、独立できたか、わかっているか?」とか、聞き出したのだ。
聞くとはなしというか、良く聞こえるので、耳に入って来てしまうのだが、「ガンジーが無抵抗主義とか言って頑張ったからではなく、マレイ半島にて、日本軍が頑張ったから、独立できたのだ!」ということを繰り返して言っていた。
本当は、これだけでも、聞いているのが、嫌やだった。
でも、そのおじさんは、次に、「カシミール紛争は何で起きたか、知っているか?」から始まり、「インドが巨大になるのを嫌った中国がパキスタンに肩入れしたからだ」(と言っていたと思うが、不確か)とか、断定的に、インド人の店員さんに教えていた。
久々、すごい日本人を見た。
だいたい、ご飯を食べに来て、戦争とか紛争について、ま、自分たちだけで話すなら、本人たちが良ければ、まだ良いのだが、他国の店員さんに向かってそういう話題を話しかけることが、私には理解できない。
(昔、私が小さい頃、戦争に行った経験のある世代で、「実は日本軍が強かった」みたいなことを言い出したら切りがないようなおじさんは、たまにいたような記憶がある。でも、今回会ったおじさんは、多分、戦争の時、生まれているかいないか、くらいの年に見えた。)
インド料理店に入って、若いインド人の人に、ずっと昔のその国の独立について、「日本軍のおかげだ」と言い切っている日本人、私からすると、ものすごく醜くく感じた。
カシミール紛争もそう、頼みもしないのに、自国の紛争について、遠く離れた日本人に客観的に解説されて、不愉快だろうと思った。
でも、そのインド人の店員さん(か、オーナーか、マネージャーと言う感じの人であった)は、適当に相槌を打ち、そのお客さんを不愉快にすることなく、しゃべりたいだけ、しゃべらせていた。
(その間、連れの奥さんは、全く知らん顔をしてもくもくと料理を食べていた。きっと、このおじさんも、こういう変なお説教癖というか、知識ひけらかしの癖はあるのだろうけれど、きっとどこか良いところがあるのだろう。)
こういう変な人、もしくは、自分と価値観が相容れない人と言うのは、一定の割合、世間のどこにもいるのだ。
何だかな~、今日は勉強になったな。
勿論、そのおじさんが勉強になったわけではなく、若いインド人の店員さんの態度が勉強になったのだ。
その変な人を不愉快にさせることなく、何も感じていないように相手を怒らせないようにふるまっていた。
インドから来て、東京にお店を出し、日本語で商売をし、繁盛させているだけでもすごいと思うのに、こういうアナクロな日本人のお客の行動を、批判するのでも受け入れるのでもなく、流れるまま、終わらせたのは偉い。
私の席は、厨房に近く、そのおじさんの相手をしていたマネージャーさんは、その後、厨房の他のインド人数人とインドの言葉で何かしゃべっているのが見えたが、ごく普通の会話であった。(全く表情とは変わらず、決して、怒りとか、嘲笑を含んだ会話をしているようには見えなかった。)
あのおじさんが言ったことには何も感じていない様子に見えた。(もしかして、意味が良くわからなかったのかも知れないが)
ま~、本当、どこにでも、自分とは全く価値観とか行動基準が違う人は確実に存在する。
そういうことに、一々腹を立てたりしないで、さらっと流して、自分本来の目的に向かって行動するのが一番美しいと思った。