戦後の贈答品の残骸
2009年 04月 30日
親が他界するまで、開けたこともない戸袋だったのだが、開けてみたら、昔の清酒の化粧箱類が無造作に入っていて、早く片付けて、他の物を入れられるようにしなくてはとずっと思っていたのだ。
推測するに、ビルができたときに、父親が入れたものだろうから、かれこれ20年前に活躍していた化粧箱たちであった。
清酒、ウィスキーも懐かしいが、すごく懐かしかったのは、砂糖の化粧箱とカルピスの化粧箱とたばこを10個を平らに並べる化粧箱。
今となっては、他人さまに、お砂糖やカルピスを送る人もいないだろうが、昔は、当たり前のように、贈られていた。
こういう箱に入れて、包装紙で包んで、のしをつけて、名前を書く、それが当たり前の贈り物だったのだ。
私も時たま手伝った覚えがある、砂糖なんて、上下を挟んでペシャっとさせて無理矢理1kgを2つ箱に入れるのだ。
何で、こういうものが贈られなくなったかというと、世の中がどんどん豊かになったからだろう。
そう、物資が余りない時代には、お酒、砂糖、カルピス、たばこを贈るしかなかったのかも。
物資が豊かになると、デパートとか、お菓子屋が頑張り出して、どんどん、酒屋へのギフトの需要が減ったのだよね、と、この風景を見ながら思った。
そうだ、業務が攻められているのは今に始まったことではない。
昔は、酒屋の仕事であったギフトをデパートに奪われていったのだ。
そのデパートも今は、売り上げが落ちているとのこと。
今ではもっと物資が豊かになり、多様化され、通販などを利用すれば、デパ地下で扱っている以上の珍しいものが贈れるものね。
それに、不況だしね、デパートで定価で買ったものより、もっと安い店で知恵を絞ったものの方が人気があるのもわかる。
ま~、商売って、そういうものかも知れない、どんどん、時代に合った新しい業態にお客が移って行くものなのねと、片づけながら考えた。
この化粧箱の残骸を見ていたら、戦後、酒屋の良い時期もあったのだろうけれど、ここ20年は完全に攻められっぱなしだと実感した。(笑)
ビール用の大きなのし紙だけは役に立ちそうなので、残したが、後は全て廃棄した。