千束通り 大三

先週、図書館で予約していたJ.C.オカザワさんの「庶ミンシュラン」が借りられたので、研究した。
予約してから、実際に借りるまで、1か月以上かかった。
まだ、私の後には予約している人がいたので、「私が行けそうなお店だけ情報を抜書き」して、さっさと返してしまった。(のが、残念)

その中に、先日、yasuさんに案内していただいた千束通りのお蕎麦屋さんが「無印良店」として、載っていたのだ。
それも、営業時間が、お昼前から夕方前だけだと、書いてあった。

で、土曜日に、上野駅から始まって、竜泉で買物、お酉様の近所で仕入れをし、最後、千束通りのダイマスで買物と思ったのだ。
お酉様から千束通りまで、色々なコースで走ってみたが、どうも、吉原のど真ん中を通り抜けるのが一番近いということがわかってきた。
で、そのコースで千束通りに出ると、相当北側に着くことになり、その時点で、J.C.オカザワ情報を思い出したのだ。

で、着いたのが昼頃だったので、千束通りの四つ角にあるその店は、開店しているようだった。
そうだ、このお店は、yasuさんと、「ここは美味しいのかしらね~」と外から様子を見たが、全く中の様子がわからないお店であった。

d0063149_15181.jpgそのお店の名前は「大三
看板に、他に、「千束田圃(たんぼ)」と書いてあるから、相当古いお店なのだろう。
でも、その他、「天ぷらと蕎麦」くらいの文字しかなく、店の外には、何がいくらなのか、何が食べられるのかの情報がない。

大三の隣は、鮒忠で、鶏ももの網焼き弁当が500円、並びの金太楼というお寿司屋も、ランチの握りは、500円という数字が目に飛び込んできて、こういう500円ランチもいいな~と思った。
ま、大三さんは、価格はわからないが、庶ミンシュランに載るくらいだもの、大したことないだろうと、入ってみた。

入ってみると、お品書きというか、お品の札が全て揃っているところが私から遠いところの一ヶ所で、私が座った席はダイジェスト版の札だけで、全体が良くわからなかった。
遠めで見ると、詳しいお品の札の一番右(私から一番見えやすい方)は、天ざるが1400円。
その他、種物が700~800円という感じか。

確か、J.C.オカザワさんの本に、天ぷらそばがお奨めと書いてあったような気がしたし、私の前に入った人が天ざるを頼んだので、私も天ざるにしてみた。

注文を取りに来たのがおばあさんで、その注文を厨房に伝えると、返事している厨房の声もおばあさんの声のよう。

店内を良く見たら、路地に面している奥が厨房らしいが、店の前の方のちょうど四つ角のところがガラスで覆われた別部屋になっている。
どうも、この部屋は、天ぷら部屋のようだ。

私の席から、この天ぷら部屋が良く見えた。
おばあさんが厨房から出て来て、天ぷら部屋で揚げ始めた。
(そのおばあさんの背中は、15度くらい曲がっていた。)
この姿を見ていて、J.C.さんの本に、確か、「おばあさん3人で営業している」と書いてあったことを思い出した。

頼んでから程なくで、お盆に、天汁が乗って運ばれて来た。
オヨヨ、天つゆが熱くて、三つ葉や柚子が浮かんでいる。
わ、私の嫌いなタイプ。
天ざるは難しい、天ぷらに合わせれば、汁は熱くなるし、ざる蕎麦に合わせれば、汁は冷たくなる。
私としては、その場合、冷たくて、お蕎麦が美味しく食べられる冷たい方が好み。
がっかり。

天ぷら部屋を見ると、天ぷらを乗せるお皿を持ったお運びのおばあさんが、天ぷらを揚げるおばあさんの隣に寄り添っていた。
見ていると、天ぷら鍋から揚げたものを箸でつまんで振って油を切るだけで、そのまま、紙の敷いてあるお皿に乗せた。
天ざるだから、一旦お皿に乗せるけれど、天ぷら蕎麦だったら、油鍋から直接、どんぶりかな~なんて、思ったが、実際はわからなかった。

その間に、お店の雰囲気にも慣れ、遠くのお品書きの札も、左端まで目に入って来た。
一番安い「もり・かけ」は470円、「ざる」が570円だったかな?
もりが470円で、天ざるが1400円、その差、930円。
930円の天ぷらって、どんなだろうと思ったら、直に運ばれて来た。

d0063149_153512.jpg海老が二本としし唐2つだけ。
お蕎麦は、白い。

で、全然期待していなかったのだが、お蕎麦は、お蕎麦の香りがして、美味しかった。
家に帰って他の人のブログを読んでみると、ここのお蕎麦は更科らしい。
今まで、私は、更科のおそばは嫌いだったのだが、ここのは、美味しいと思った。
蕎麦の香りが強いのだ。
お汁は、甘辛くて、それなりに美味しい。
熱いのも余り気にならなかった。
(生まれてこの方、昔の日本橋東急に、何とか更科というお蕎麦屋の支店があって、そこで更科を食べて、美味しくなかったのだ。それ以来、柚子切りなど以外で、更科そばは、食べていない)

で、次に天ぷら。(私は、天ざるを食べる場合、先にお蕎麦を食べ終わってから、天ぷらを食べるタイプ)
衣がすごく薄い天ぷら、食べると、海老が新鮮で柔らかくて、とても美味しい。
絶対、海外の冷凍を解凍したものではない、国産物の風合い。
(勿論、揚げ方も上手なのだろうけれど)
いや~、このお店は、国産の車海老をちゃんと仕入れているのだ。
そうか、930円の価値は、フレッシュな国産車海老だったのね、という感じ。

何ていうか、最近は、立ち食い蕎麦と、手打ち蕎麦に押されて、街のお蕎麦屋さんの価値がわかり難くなっているけれど、このお店は、街のお蕎麦屋さんの矜持を見せてくれたという感じ。

お蕎麦だって、手打ちではなくて、どこかの製麺所の機械打ちだと思う、それでも、良い香りのするお蕎麦で、車海老も上等。

何だか、久々、とても素敵な街場のお蕎麦屋さんを見つけてしまった感じ。

また、店内がとても良い。
木造で、お店の千束通りに面している方が吹き抜けになっていて、天井が高く、曇りガラスの入った格子戸から、光が入る。
テーブルと椅子は、茶色い木製。
全部がセピア色の世界。
そのどこもかしこも、掃除が行き届いていて、さっぱりして気持ちの良い雰囲気。
天ぷら室のガラス戸も、全然汚れていない。
(ここのおばあさんたちは、老齢化で、営業時間は短縮したけれど、掃除の時間は短縮していないのだろう。)

このお店は、外から見たら、お店の名前しか出てないけれど、どうもおばあさん3人で営業しているので、知っている人だけ来てくれればいいという感じなのだろう。

それにしても、次から次にお客さんが入って来た。
と言っても、テーブルが全部埋まるくらいで、大抵、1人か2人連れくらいだから、席は半分くらい埋まった感じ。
一人で入って来た若い女性も含めて、色々な人が入って来たが、そのどの人も皆常連な感じ。

天ざるの別盛りつきで、頼む人が多いように見えた。
他、もりそばに天ぷらという人もいたけれど、この頼み方をすれば、お蕎麦には、冷たい汁が、天ぷらには温かい汁がつくから、私向きの頼み方かも知れない。

何だか、ここのお店、ここの天ざるは、病み付きになりそう。
こう言っては何だけれど、腰が曲がっているおばあさんを初め、3人のおばあさんで営業しているわけだが、誰か一人病気になっても、このお店は成り立たなくなるだろう。
後継者もいないみたいだし、いつか、閉店になったとき、常連だった人たちは、いつまでも、この大三のお蕎麦を懐かしみ、「天ざると言ったら、大三のようでなくては」と思ってしまうような感じ。

何だろう?
白い上っ張りを着たおばあさん3人、掃除の行き届いた天井の高い店内、木のテーブル、更科そば、上質の車海老の天ぷら、何だか、それらが相俟って、一種独特の雰囲気がある。
このブログにも書いてあるが、ここだけは、涼し気な昔のお蕎麦屋さん。
(先週の、テレビの「おせん」で、「手入れの行き届いた古い木造の家には、妖精が住んでいる」と言っていたけれど、それに近いものを感じる)

良いものを出しながら、それが当たり前、ただ、蕎麦屋として当然と思うものを静かに作って出しているだけという涼しげな雰囲気。
昔のお蕎麦屋さんのグレードは高かったのだ。

それにしても、J.C.オカザワさんを初め、同じ作者ではあるが、このブログも、このブログも、ここの海老の天ぷらが素晴らしいとは書いていないところを見ると、私が普段、余り良い海老を食べていないから、そう思うだけかな~とも思う。
(今、普通に生活していたら、国内産の海老は中々お目にかかれないと思うのだが)

天汁に添えられてきたわさびは、粉わさびだったけれど、このお店で、相当高齢のおばあさんがそれを持ってきたら、何だか、それはそれで許せるというか、がっかりしたり、文句言いたいとかも思ってはいけないという感じになる。

いや~、このお店は行く価値あります。
と断言したいところだけれど、飲食店というのは、最初に行ったときが一番美味しいと思う。
その点、割り引いて、読んでください。

とか、言いながら、J.C.オカザワさんの本には、素っ気無く紹介されていたが、実は、このお店、余り知られたくないから?とも思う。

さ~、次は、冷し肉南蛮だ。
(注意:このお店は、アルコールがありません、それから、「大盛り」もないそうです)

思い出した、先日、馬喰町の古今のことを書いたとき、DMで、大勝軒(池袋とは別物)という昔からの中華料理屋さんも、チャーハンや五目そばが美味しいと、元地元民が教えてくれた。
そうだ、大勝軒も、暖簾だけで、外から見ると、メニューが全然わからない店構えであった。
これは、期待できそう。(笑)
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by mw17mw | 2008-05-25 01:06 | 飲食店・菓子店 | Comments(0)