丸の内の夜は、「カルシウムで散財」
2007年 07月 13日
お店自体は、とても素敵、そこにいる人たちは日本人であるけれど、写真で見るように、パリのビストロの雰囲気。
そして、幹事の人が、一番奥の他の席より一段高い位置にある席を予約してくれていたので、気分は、パリ。
が、私は失敗してしまった。
メニューの選び方が、結果的ひどいものになってしまったのだ。
前菜の中から、何を選ぶかなのだが、こういうところでコースで食べると、最後のデザートまで入らないことが多いから、「美味しさ」ではなく「軽いもの」ということで、牡蠣のローストのグレープフルーツソース添えにしてみた。
そして、メインのメニューの中に「ピエ・ド・コション」(豚足)を発見。
何だか、急に、「取ってみよう」という気になったのだ。
それには、訳がある。
大学を出た春休みに、ヨーロッパ旅行に友人たちと行ったのだ。
その当時、物識りの友人が「ここで食べたい」と決めたお店が「ピエ・ド・コション」というお店。
勿論、名物は、豚足。
でも、その頃の私は、豚足を食べるなんて、信じられなかった。
確か、私以外の人も食べなかったと思うが、「豚足を食べるなんて、フランス人って、やはり、肉食人種、私は本当に農耕民族なのだ」と思った。
そのときは、豚足を見るのも嫌やだった。
確か、食べたものは、ムール貝だったような覚えがある。
もしかして、オニオン・グラタンも食べたかも。
その後、一度もパリに行っていないこともあるし、日本のレストランのメニューでも、ピエ・ド・コションの名前を見ることはなかった。
そのパリのピエ・ド・コションで、フランス料理には豚足料理があると知ってから、早○十年経ち、丸の内のビストロ・メニューに「ピエ・ド・コション」の文字を見たのだ。
そのときに、何だか、「今だったら、○十年前より食の体験をしているので、食べられる、あの○十年前に食べなかったピエ・ド・コションを食べることは、私の定め、いつかしなくてはいけないこと」のように感じたのだ。
で、私の選んだものは、牡蠣と豚足になった次第。
最初に出てきた牡蠣はこんな感じ。
ローストしてあると書いてあったけれど、常温であった。
かかっているのが、グレープフルーツのソースではなく、グレープフルーツのみじん切りであった。
う~ん、不味くはないけれど、牡蠣は牡蠣、グレープフルーツはグレープフルーツという味で、この2つがマッチングして、味のハーモニーが生まれるなんていうことは全然なかった。
しかし、牡蠣は、お皿に殻ごと運ばれて来るので、ま、量は少なめだった。
それは、最初から狙っていたことだから、良いのだが....。
さて、次に、生まれて初めて見る「ピエ・ド・コション」、豚足料理が運ばれて来た。
見かけは、写真の通り。
選ぶ前に「食べやすいか」とお店の人に聞いたら、「ブロックに切ってありますので、大丈夫です」と言われたが、確かに、切りやすかった。
が、しかし.....。
切って開いてみたら、半分が骨、ころころした骨が沢山出てきたのだ。
おまけに、骨以外は、殆どカリっと焼かれた塩味の皮と、ゼラチン質(コラーゲン?)のみ。
お、お、お肉が全然ない。
あれ?
豚足って、お肉がなくて、全部、骨とゼラチン質?
しょうがないので、食べたけれど、皮とゼラチンばかりじゃ、飽きちゃう。
別皿に、野菜がついてきたけれど、何だか、皮とゼラチンって、中々減らないので、先に皮とゼラチンばかり食べてしまった。
それに、お皿の半分は、除けて外した豚骨の山。
はっきり言って、こんなもの、選ぶのではなかったと後悔。
フランス人だって、たまにしか、こういうもの食べないだろうな?と思った。
それと、鶏の足であるもみじは、今でも私はその見た目の気持ち悪さから食べないのであるが、豚足を食べながら、「きっともみじもこういうゼラチン質ばかりに違いない、食べなくて正解」と思った。
豚足は、コラーゲン大好き人間以外は、手を出さない方がいいかも。
私はコラーゲン嫌いではないけれど、やっぱり、お肉の添え物程度がちょうど良い。
前菜は、お皿半分が牡蠣の殻で、量的に少なかった上に、メインは、お肉が全くないコラーゲンと皮ばかりで、何だか、量的には、ものすごく物足りない状況で、デザートを選ぶことになってしまった。
こういう状態になると、美味しそうなものより、おなかに溜まりそうなものを選んでしまう。
でも、このデザートも余り美味しくなかったし、甘いものではおなかは膨れなかった。
何だか、選んだもの、全てが裏目に出た感じというか、豚足でのつまずきが大きかった。
こう書くと、オザミは、美味しくない、とんでもないビストロに思えるだろうが、本当はそんなことないのだ。
他の方の料理を少し味見させていただいたが、他の人の料理は美味しかった。
結局、この日は、私は美食の神様から見放され、何だか、お皿半分の量の殻と骨にお金をかけてしまったようだ。(涙)
ま、たまにはこういう日もあるさ、と諦めよう。
我が定めであった「ピエ・ド・コション」は一度は試したので、二度と取ることはない。
<おまけ>
豚つながりとのことで、おまけです。
今日、鳥越の大黒屋さんに行ったら、ちょうど、豚のロースの骨付き塊があったので、パチリ。
一番前面は、ロースの一番太いところ、この手前の切り離したところの前が肩ロースで、一番向こうは、ももと切り離したところとのこと。
奥の方に見える茶色い丸いものが腎臓。
腎臓とロースの間にある脂肪で包まれた部分がヒレだそうだ。
私は、実は、脂肪の上に乗っている腎臓を見て、「私の腎臓もこんな感じかしら?」と興味を持った。
手前から腎臓まで骨に沿って、空洞だが、ここに色々な内臓が入っていたはずとのこと。
「何で、腎臓だけ、残しておくのだろう?機械で内臓を取り除くとき、腎臓だけ、取り難い設計になっているから?」と聞くと、豚を解体するとき、内臓は全て人間がナイフで外すそうである。
結論としては、腎臓を取ろうとすると、その下にあるヒレの部分を傷める可能性があるからではないかという結論に達した。
(それに、腎臓は、美味しくなくて、食料としては価値が低いのかも)