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天性の「美味しい!状態に執着心」がある東京下町に棲息するおばさんのお料理・お菓子・道具・食材の他、散歩の記録を綴った日記です。by真凛馬


by mw17mw

最近見たTVドラマとDVD−「漱石の妻」と「ちはやふる上下」

<漱石の妻>
昨晩で、四週連続であった「漱石の妻」が終わった。(最終週は途中からしか見られなかったので、来週の再放送を録画して再度見る予定)
素晴らしくよくできたドラマだった。
漱石役の長谷川博己とその妻鏡子を演じた尾野真千子も上手で、ぴったりだったけれど、話がとても良かった。
例えば、漱石は、名主の家に生まれ、幼いときは里子に出されたりはしたが、家も裕福で、東大出て、英国留学も果たした。
また、癇癪持ちだったことは有名だが、作家としても、日本の明治以降の成功した偉人の一人だと認識されている。

それを奥さんの立場から、家庭人としての漱石を描いたドラマである。
「夏目漱石」というWikiを見て、夏目漱石の人生がわかったような気がしていたが、年表からはわからない人間関係に痛めつけられ、もがいて、自分も家族も傷つけてしまった漱石が描かれていた。

年を取ってから生まれた夏目漱石を父親は恥と思ったのか、生まれてすぐから9歳まで里子や養子に出していた話は有名。
その後、実家に戻ってから一緒に暮らすことになった実の父親は漱石に全く関心も愛情を示さなかったとのこと。(母親のことはどこにも書いていない、年を取ってからの子とのことで、他界していたのかも)
そんな家庭環境の中から、十代の漱石が、愛情が欲しいと思ってもそれを誰にも言い出させず、求めることができないままに、親の愛情にも恵まれず、その状態に耐えて我慢して生きていくしかなかったのだ。

結婚までその状態が続いたので、漱石は、家庭を持っても、温かい家庭が欲しいのに、それをどう作っていけばよいのか、家族にどう接していくかわからなかったのだ。
幼い時にそれを望みながら、叶うことがなく、常に父から拒否されたり、無反応だった思い出が「温かい家庭が欲しい」と素直に行動することを邪魔する。

それでも、日本にいる間は、漱石は「普通の人間」であったのが、ロンドン留学での異国で知り合いもいない生活で、被害妄想がひどくなり、神経を病み、そのままの状態で帰って来る。
久しぶりに妻に会うのだが、以前とは違って、漱石は、誰かに見張られているという妄想がひどくなり、家族(妻と子)に暴力をふるう人間に変わっていた。

その夏目漱石が神経を病んだときの暴力のすごさも描かれていた。
今まで、何で、夏目漱石がそんな神経を病んだりしたのかわからなく、生まれつきの体質なのかと思っていた。
そうしたら、やはり、成人までの間、実の父親が全く夏目漱石に無関心な中、それに耐えて生きていたから、心が育たなくて、新たな人間関係を築くのが下手で、自分の中で堂々巡りするしかできなくなっていたのだとわかった。

ま、後、この作品の良いところは、夏目漱石の診察をした精神科医に、鏡子さんが「ご主人は病気で神経を病み、暴力をふるいます。直る可能性もあります」とか言われたときの鏡子さんが素晴らしかった。
「病気なのですか?」「だったら、家族ですから、治るように、家族は看病しなくては」というところ。
第二話でこの場面が出てくるのだが、素晴らしい。(私が一番感激したのは、この場面、どんなに暴力をふるう、わけのわからなくなってしまった夫であっても、彼女は、「家族」という立場で、相手を思いやり、自分がしなくてはいけないことをちゃんとお医者さんに告げたのだ。因みに、鏡子さんは、後に没落してしまったが、裕福な家庭で、十分な愛情と受けながら、育って来た人)

そんな生活の中、突然、黒い猫が漱石の家庭に乱入して来て、飼われることになる。
そうすると、漱石は人間に対しては素直に接することができないのに、猫に対しては、感情移入して可愛がることができ、徐々に暴力も収まり、漱石は穏やかになっていく。
そうして、その猫を主人公にした「吾輩は猫である」という小説が評判を取り、夏目漱石は、英語教師を辞め、作家として生きていくことになる。

三話では、養父との葛藤、四話では、漱石の病気との闘いを始めとする晩年が描かれる。

何だか、このドラマを見て、生の人間としての夏目漱石が理解できたような気がした。
やっぱりね、結婚したら、親子となったら、「家族なのだから」と言いながら、その姿勢で暮らすのが一番だなと思った。
もし、再放送があったら、是非見てください。

今まで、鏡子さんは悪妻と言われていたし、漱石のお墓を見ると、二人の名前の入った大きな墓石のお墓(リンク先ページの一番下の画像)で、「偉人は夏目漱石だけなのに」と思ったりもしたが、このドラマを見て、「漱石を支えたのは奥さんだった」と理解した。(それでも、墓石は、二人の名前の大きさが同じでない方が素敵とは思う)
今度、この鏡子さんの書いた「漱石の妻」読んでみよう。

ちはやふる 上の句 下の句>
競技かるたが面白そうなので、一か月くらい前に「ちはやふる 上の句」を借り、今週は、「ちはやふる 下の句」を借りて来て見たが、面白かった。
競技かるたに名を借りた、人間関係を大切にしたスポコンものといえば、言えるのだけれど、良かったよ。

若い俳優さんたち、恰好良い人が多いのだけれど、皆、顔が良いだけでなくて、演技ができていたから、びっくり。
特に広瀬すずさんって、雑誌やテレビでしか知らなかったけれど、ただ可愛いだけではなくて、ちゃんと女優さんなのだと理解、見る目が変わった。
by mw17mw | 2016-10-16 21:47 | 日常生活 | Comments(0)