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天性の「美味しい!状態に執着心」がある東京下町に棲息するおばさんのお料理・お菓子・道具・食材の他、散歩の記録を綴った日記です。by真凛馬


by mw17mw

「ジャージーボーイズ」という映画(フォーシーズンズ物語)

オートクチュール展とルイ・ヴィトン展を見たおかげで、自分の心が何だか豊かに満たされた気がしたのだが、思いもかけずに前の日に借りておいた一本のDVDがその仕上げをしてくれた。
でもね、心が満たされると同時に、「美しいものに触れて何かを感じるのは誰でもできること、どうして、人の心を豊かにするような作品を生み出す側に回れなかったのだろう」なんてことも心に浮かんだけれど、人の心に感動を沸き起こすような作品を作れる人は、ほんの少数だから、ま、がっかりしても仕方がないと思い直したりして。(笑)

そのDVDを借りて来たのは偶然であった。
グリコさんのルイ・ヴィトン展の記事を読んだ時だったろうか、グリコさんと数度メールをやり取りしたのだ。
その時に、ルイ・ヴィトン展にもオートクチュール展にも関係するヨーロッパのある時代を描いた映画がとても良かったと紹介してくれた。(他、NHKの「新映像の世紀」も)
それは、「黄金のアディーレ」という映画で、クリムトの同名の絵の話なのだが、これは、実は、ヨーロッパに住んでいたユダヤ人の富豪が自分の娘の絵をクリムトに描いてもらったもので、個人の所有物だったそうだ。
それがナチスに没収され、今では、オーストリア政府のものとなって、ウィーンの美術館に展示されている。
それを、アメリカに亡命したこのユダヤ人富豪の姪が取り戻すためにオーストリア政府を訴えた実話なのだそう。
とても面白そうなので、TSUTAYAに借りに行ったら、DVDが販売されるのは、5月26日とのことで早過ぎた。

何も借りないで帰るのも何だと思い、色々見ていたら、「ジャージーボーイズ」があって、これは、2,3年前の映画で、昔人気のあったフォーシーズンズ、中でもボーカルのフランキー・バリを題材にした映画であるとテレビで紹介していたのを見たのを思い出し、借りてきた。(なんと100円ちょっとで借りられた。)

それがとても良い映画で、古い時代のフランスの美しいものを見た後、1960年代くらいのアメリカを描いたハリウッドの映画を見て、また、古い時代のフランスとは違った明るくて、動きのある美しさを味わうことができて、良かった。

ジャージーボーイズって、売れなくてジャージーを着ていたからこういう名前かと思ったら、何でも、フォーシーズンズがニュージャージー出身の若者を中心にして結成したグループで、「ニュージャージー出身の若者たち」という意味とのこと。

フォーシーズンズは、シェリーという曲で有名になったのだけれど、この歌が流行った1960年代、日本では、アメリカのポップスは、オリジナルの演奏が直接入ってこなくて、日本語の歌詞をつけて日本人が歌うバージョンがテレビやラジオから流れた。
確か、この歌は九重祐三子がパラダイスキングか何かと一緒に歌って、私も日本語の歌詞で歌っていた。

でも、映画で、デビュー当時のフォーシーズンズの描き方を見たら、その頃の歌い方は、明らかに黒人グループ風で、その描き方を見たら、シャネルズを思い出した。
ドゥワップというのだろうか、黒人のグループの歌い方の真似で歌っていたのだ。
きっと、1960年代の単一民族で構成されていて、外国人が殆ど住んでいなかった日本では、白人の音楽を受け入れるのが精いっぱいで、黒人の歌文化まで受け入られる程、外国に慣れていなかったのかも知れない。

その映画は、最初は、ニュージャージーのチンピラたちの話で大して面白くはないのだが、歌手として成功していく話になっていくと、懐かしい音楽とともにとても面白くなっていく。
ただ、ハッピーエンドではなく、グループとしては成功したけれど、不幸な部分も背負って生きて行かなくてはならないし、全てを手に入れることはできなかったのだけれど、でも、ずっとグループ続けて、歌い続けて良かったねと主人公に言ってやりたい感じで終わった。
人生なんて、そんなものさ、それでも、フランキーバリの人生は成功だったねという感じ?

ちょっとだけ内容を書いてしまうと、主人公は最愛の娘を亡くしてしまうのだけれど、周囲の人たちが、「悲しみを乗り越えなくちゃ」とか「悲しみを乗り越えるべきだ」と、主人公をそちらの方向に引っ張って行こうと応援していく。
それを見ていたら、アメリカ人にとって、悲しみの中に留まるのは良くないことで、乗り越えることこそに価値があるし、仲間ならそうなるように手伝うのだなと見ていた。

この映画の一番良いことは、フォーシーズンズやフランキー・バリの歌を聞くあ観客が皆幸せそうな反応をすること。
彼らの歌は、本当にアメリカ人の心を慰め、喜ばせてきたのだと良くわかった。
その部分がとても明るい。

この映画、元々は、ブロードウェイで人気を博しているミュージカルの映画化だそう、また、今回見た映画の監督がクリント・イーストウッドなのだって。
映画の話が終わってから、最後に、ミュージカルなぞのカーテンコールのように、映画の出演者全員の歌と踊りのショーが用意されているし、そのメイキングフィルムもDVDにはついていて、とても楽しかった。(下のは、カーテンコールのような部分)

何か賞を取るような重さはないけれど、とても美しいし、心に残る映画。
これって、公開当時ヒットしたのかしら?
TSUTAYAで100円くらいだし、アメリカンポップスなぞ好きな方は是非見てください。

また、映画の本筋とは関係ないのだが、タモリ倶楽部の女の子のお尻が次々と映るオープニングのBGMが、「ウィ アー ショー ショー」と私の耳に聞こえていたけれど、この歌の題名とか誰が歌っているかとか長い間わからなかった。
そうしたら、この曲がこの映画に出てきたのだ。
何と、これは、「ショートショーツ」という曲で、ボブ・ゴーディオというフォーシーズンズのメンバーの一人がフォーシーズンズ加入前の15歳のときに作った曲だとわかる。
そうして、フォーシーズンズに加入してから、この人は、「シェリー」も「君の瞳に恋してる」も共作ではあるが、作ったとのこと。
まさか、この三曲が同じ人が作ったものなんて、想像もしたことがなかった、日本では名前は余り聞かないけれど、本当に天才的ヒットメイカーだと思った。(もっと有名になってしかるべき)
by mw17mw | 2016-05-18 21:28 | 日常生活 | Comments(0)