猫に小判・私に十割蕎麦(本駒込 薮つた)

d0063149_11555261.jpg先日、旧白山通りを千石まで散歩したのだが、その途中で、「薮つた」というお蕎麦屋さんに入ってみた。(桃猫さんの最近のブログに訪問記が載っていたことも刺激になった。)

ここは10年以上前、メーリングリストをしていた時、話題になったお店で、「薮そば」の元祖と言われる蔦屋の流れを汲む、蔦屋で修業した人のお店とのこと。(薮蕎麦発祥については、こちらにまとまっている)

場所は、東洋大学の正門の前で、私が良く行く100円回転寿司のはま寿司の3軒先にある。
以前からそのことには気づいていたのだが、日祭日定休だったので、何となく行きそびれていた。

d0063149_11562751.jpgで、このお店は、内装が本当にユニークで、嘘でなく、このお店と似たお店は世の中にないのではと思うくらい。(でも、お店の内装のユニークさには触れない、他の人の記事を参考にしてもらうこととする。)

とにかく気取らない街場のお蕎麦屋さんだと思って間違いないけれど、お店の奥に電動式の大きな石臼が置いてあり、そば粉が自家製のお店とわかる。

d0063149_1156593.jpg何て言うか、今の新規開業する手打ち蕎麦屋さんって、とてもすっきりしていて、そのお蕎麦屋の主人の美意識が反映されている内装のお店が多く、私は、「手打ち蕎麦屋を開業するには、蕎麦打ちの技術だけでなく、美意識・美的センスもないといけないのだ」と何となく感じていたが、そのお店は、その真反対で、簡単に言えば、民芸調の内装。
(それで思い出した、日本医科大学の前のお蕎麦屋さん「夢境庵」も民芸調の内装で有名だっけ、どうして文京区には民芸調のお蕎麦屋が多いのだろう)

さて、お店に入り、席に案内され、メニューを見ると、特別な挽き立て打ち立てのお蕎麦が1300円の他、もり蕎麦・ざる蕎麦が6~700円程度の二段設定であった。

で、インターネットの評判が良い1300円のお蕎麦を頼んだ。
お店の中は、親子らしい女性が二人だけだったが、奥に誰かいて蕎麦を打つのか、程なくして奥からお蕎麦が運ばれて来た。
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色が黒くて、平打ちで、普通のお蕎麦屋さんのお蕎麦の二倍くらいの幅で、所々、ぷつんぷつんと切れていた。(量はたっぷりであった。)

その時に「十割蕎麦だったのだ」と気付く。
薮蕎麦の元祖の流れを汲むということで、私はてっきり二八そばが出てくるものだと勝手に決め付けていたのだ。

薄く打って幅を広くしているせいか、普通の十割に比べたら、ゴワゴワ感が薄いような気がする。
美味しいことは美味しいのだけれど、私は、喉越しで味わう二八の方が好きで、二八そばばかり食べていたので、この十割蕎麦、どう評価して良いのか、全然わからなかった。
(何て言うか、私独自の価値観だと思うのだが、「良く噛まなくてはいけないお蕎麦」は原則余り好みではないのだ。)
蕎麦汁は、薮そばの辛汁よりは甘めで、キャラメリーゼしているのか、ほんのちょっと苦みが入ったタイプ。
不味くはなく、あっという間になくなっていたから、美味しいことは美味しいと思うのだけれど、私の好みの美味しさとは別なのだと感じながら、食べていた。

そうなのだ、私の場合、十割蕎麦を食しても、どこがどう美味しいのか、他のお店に比べて長所はどこかという分析ができなくて、どの十割蕎麦も「十割蕎麦だ」としか、感じられなくて困ってしまう。

このお蕎麦を食べ進んでいる内に、「そうだ、母の姉である山梨のおばさんのお蕎麦に似ている」と思い出した。
母が他界してからもうすぐ8年だから、最後に山梨の伯母のお蕎麦を食べてから、10年以上の時が経っているかも知れない。

母は、我が家で、お蕎麦屋から出前を取る時、必ず「うどん」を取っていた。
それと、「山梨の姉さんが打ったお蕎麦が一番美味しい」と良く言っていて、母が帰郷した時なぞに、伯母がお蕎麦を持たせてくれて、家に戻って来る時、本当にうれしそうだったっけ。

そんなことを思い出し、「そうか、うちの母にとって、小さい時から食べ慣れていたお蕎麦は、十割そばで、十割のお蕎麦が好きで、二八は嫌いだったのだ」と、初めて、しっかりと理解した。
今まで、母は田舎風のお蕎麦が好きで、東京風は嫌いと思っていたが、それは、田舎とか東京という問題ではなく、蕎麦粉の割合によるものだったのだ。

十割蕎麦というのか、限りなく蕎麦粉ばかりの蕎麦粉の香りと味が強いお蕎麦が好きな人もいるし、私のように、喉越しでお蕎麦を味わってしまい、殆ど噛まずにお蕎麦を食べるのが好きな者もいる。

私のように、喉越しで食べるタイプは、どうも、良く噛まなくてはいけない十割そばは、やはり、どちらかというと苦手というか、本当の十割そばの魅力がわからないのかも知れない。

世の中には、十割は十割として味わえ、二八は二八として味わえるタイプの人もいるかもしれないが、少ない私の経験から言うと、やはり、十割が好きな人は二八を嫌い、二八の好きな人は十割そばはどうもねと思うことが多いと思う。
こういうのって、生まれて初めて「このお蕎麦は美味しい」と思ったのが、十割なのか、二八なのかで決まってしまうのではないだろうか。

お店を出るとき、お店の女性に、「私が食べたのは、十割そばだったのですね?」と聞いたら、「若干、つなぎは入れるから、十割ではないかもしれないけれど、九割は挽きたての蕎麦粉です」と教えてくれた。
「あの600円とか700円というお蕎麦は、二八ですか?」と聞くと、「そうです」とのことであった。

元祖の蔦屋さんは、十割、二八、どちらを出していたのかしらね?

帰って来てから、色々調べたら、「薮蔦」を名乗るお蕎麦屋さんは、この本駒込のお店の他、東大農学部正門近くにもあるみたいだ。
そちらも、今度行ってみようかな?
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by mw17mw | 2011-07-08 11:57 | 飲食店・菓子店 | Comments(2)

Commented by 桃猫 at 2011-07-08 21:51 x
行かれたのですね、藪蔦。なんか不思議な感覚に襲われる店、そして時空が歪んだような、、、。蕎麦は、難しいです。畢竟、趣味に行きつくと思いますし。良し悪しは、10割だから云々というわけではないですし、やはリ好き嫌いでしょう。自分は、ガッつり噛み締める系が好きなので。理想は山梨、小淵沢の萬吉(閉店)とか、おっこと亭さん。

PS.鎌倉でワカメは、流通量が極小かも、ひじきがおススメ。
Commented by mw17mw at 2011-07-09 09:25
>桃猫さん
>不思議な感覚に襲われる店、そして時空が歪んだような、、、。
そうそう、そのお言葉、ピッタリです。
はじめ、グリルkに行こうと思っていたのですが、桃猫さんの評価が低かったので、ダイエット中にわざわざ行く程ではないと判断し、お蕎麦なら、大して影響はないだろうと、薮つたさんにしてみました。
本当、お蕎麦は難しいですよね。
このお蕎麦屋さん、噛みしめるタイプが好きな方には価値があると思いました。